Instagram Stories の登場、SNOWのブレイクなど、様々なニュースがSNS界隈であった2016年。そうした動きは2017年も続くのでしょうか。

企業のマーケッターとしては、SNSにおけるトレンドは気になるところ。

そこで今回は、『できる100の新法則 Instagramマーケティング』(共同執筆・石井リナ他/インプレス刊)で執筆を担当したSNSコンサルタントの石井リナさんに、2017年のSNS市場をうらなってもらいました。

石井さんいわく「2016年は写真コミュニケーション終焉の年」、そして「2017年はSnapchatライクSNS元年」と予想。マーケッター必見の「SnapchatライクSNS」の活かし方とは?

石井リナ
SNSコンサルタント。「COMPASS」編集長。 平成2年生まれ。新卒でオプトへ入社し、Web広告のコンサルタントを経て、SNSコンサルタントとして企業のマーケティング支援に従事。初のInstagramマーケティング書籍となる『できる100の新法則 Instagramマーケティング』を共同執筆するなど、 デジタルプロモーションを中心にライターや、セミナー講師としても活動を広げている。

各SNSの2016年振り返りと2017年の展望

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●Instagramについて

— まずは、2016年の振り返りと2017年の展望を各SNSごとに教えてください。まず、Instagramはいかがでしょうか?

石井:2016年のInstagramの変化は結構大きかったですね。2つの変化がありました。

ひとつは、先ほどからお話しているInstagram Stories(24時間で消える動画や写真を投稿できるInstagramの機能。以下、Stories)が登場したこと。StoriesはURLが貼れるようになったり、タグ付けできるようになったりと、さらに変化が続きました。Snapchatと同じようにすぐ消えるDMがInstagramでもできるようにもなりましたね。

ふたつめは、Instagramに「Contact」(連絡する)ボタンが付いたこと。電話をする、Eメールをするなど、直接連絡がとりやすい仕組みが生まれました。

Storiesのようなユーザーにとっての変化と、 ダイレクトマーケティングに使えるContactボタンのような企業に向けられている変化。このふたつの大きな進化がInstagramではありました。

— すると、2017年はそうした変化を自社のマーケティングでどう活用するかが課題ということですね?

石井:そうですね、街中にある小さい雑貨店やカフェなどは、「Conract」ボタンでお客様と直接コミュニケーションをとれば、SNSで来場促進などができるようになりますよね。

●Snapchatについて

— Snapchatはいかがですか?

石井:「Snapchatは終わった」「日本ではSnapchatは終わっていない」などという議論がありますが、「Snapchatが終わるか終わらないかは正直わからない」というところです。

アメリカの若年層の中は、Snapchatの方がInstagramより勢いがある印象です。

2017年は、インフルエンサーがどう動くかで旗色は変わるはずです。当たり前ですが、Snapchatに革新的な機能が加わればユーザーがSnapchatへ戻っていく可能性もまだまだありますよね。

●SNOWについて

— SNOWは、2016年5月頃にユーザーが増えたようです。SNOWをマーケティングで活用している例はあるのでしょうか?

石井:2016年12月時点ではマーケティングツールとしての活用はまだ事例としては少ないかと思います。今は、SNOWの中で、スタンプを作る企業がいくつかありますが、今後はもう少し、踏み込んでマーケティング活用する企業が増えてくると思います。
— Instagramが2016年に大きく変化したように、機能追加で何かが起こるかもしれない。だけど、現状ではSNOWはまだまだという感じですか?

石井:そうですね。日本の女子高生の中では圧倒的な人気を誇っているので、来年の動向もしっかり追っていきたいと思っています。

●Twitterについて

— MAU(Monthly Active Users, 月間アクティブユーザー)が日本では伸び続けているTwitterはどうですか?

石井:「バズを起こしたい」と考えるマーケッターの皆さんにとっては、拡散力に優れているTwitterは活用すべきだと思います。Instagramはバズの起きないSNSですからね。

— Instagramでバズって確かに聞きませんね?

石井: InstagramではTwitterやFacebookと違い、友達が「いいね!」した写真が自分のフィードに流れてくるわけではないからです。自分がフォローしているアカウントの写真や映像しか流れてこないんですね。

それに対してTwitterは、「いいね!」やリツイートをフォローしている人がいると、他人の投稿でも、自分のフィードに流れてきます。このように、Twitterは拡散力に優れているので、運用できるのであれば運用しておいたほうがいいSNSです。

— Twitterは単体で使うものではなく、何かと組み合わせるという使い方でしょうか?

石井:そうですね、ただ、Twitterでリーチする人たちが、自分たちがリーチしたい人たちなのか考える必要はあります。冒頭でお話した「自分たちがリーチしたいユーザーがどのSNSで遊んでいるか」の確認は常に大切です。

2017年は「SnapchatライクなSNS元年」になる

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— 各SNSの振り返りと展望を踏まえて、2016年をワンフレーズでいうと、どういう年でしたか?

石井:「2016年は写真コミュニケーション終焉の年」かなと思っています。

— どういうことですか?

石井:Instagramをはじめ、若い女子の間ではフォトコミュニケーションが流行りましたが、そのトレンドもだいぶ落ち着いたということです。では、次に何が来るのか。

それは、“動画”のコミュニケーションツールです。具体的にはSnapchatライクなアプリが一気にシェアを広げるのではないかと私は思っています。

— 「Snapchatライク」とは、どんなアプリなのでしょうか。

石井:代表的なSnapchatライクなSNSツールとしては、以下の3つのアプリがあります。

●Snapchat
●Instagram Stories
●SNOW

これらSnapchatライクSNSが持つ特徴は次の2つです。

1.縦位置のムービー
2.10秒で消える
3.フィードという概念がない

すでにいろんな若い子たちがStoriesやSnapchat、SNOWに移っているのですが、その動きはやはり見逃せません。中にはStoriesばかりで遊ぶようになって、Instagramの写真はほとんど見なくなったという子もいるほどです。2016年は圧倒的にInstagramで写真を見るユーザーが多かったですが、2017年はその比率は一気に逆転してSnapchatライクなSNSが多数を占めるでしょう。

— こうした動画を使ったコミュニケーションツールに対応していかないと、各企業は痛い目に合う、ということですね。

石井:そうですね。「Storiesへもっと頻繁に投稿したほうがいいんじゃないか」という話は、マーケッターの間ではよく聞かれます。

ですが、注意しなければならないことがあります。

自分たちがリーチしたいユーザーがどのSNSで遊んでいて、どういうふうにコミュニケーションをとっているのかをちゃんと把握した上での判断が必要です。たとえば自分たちが求めるユーザーがInstagramに多いなら「Storiesを運用し始めよう」というのは自然な流れだと思います。リーチしたいユーザーがSNOWにたくさんいるなら、StoriesではなくSNOWを活用しようという発想になりますよね。

— SnapchatライクなSNSのうちでも、どのプラットフォームを優先するかの判断も大切なのですね!

インフルエンサーマーケティングは、商品をインフルエンサーに渡すだけでは成立しない

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— Storiesなど、SnapchatライクなSNSへの傾斜が強まると、インフルエンサーマーケティングのあり方も変わりますか?

石井:インフルエンサーの方々が写真投稿し、商品を紹介するようなインフルエンサーマーケティングに関して「これは広告なんだな」とユーザーの方々も気づきつつあります。今までと同じように、インフルエンサーに自社商品を渡したり、自社サービスを使ってもらって感想を投稿してもらうだけでは立ち行かなくなります。

— 具体的には、どうすれば?

石井:インフルエンサーマーケティングといっても、多くの手法があるので一概にこうとは言えません。ですが、アンバサダーマーケティングを意識するといいと思います。

— アンバサダーマーケティング?

石井:アンバサダー(ブランドや商品を応援する顧客)になりえるインフルエンサーの方たちに協力してもらって、長期にわたって開発やプロモーションなど一緒に取り組んでいく、という形が理想なのではないかと思っています。

たとえば、自社ブランドのアンバサダーとしての役割をインフルエンサーにお願いする中で、以下のような事例もあります。

●アンバサダーの女の子たちにキャンプに行ってもらって、そこで自社ブランドの商品やサービスを体験してもらう。
●アンバサダーの彼女たちを海外まで連れていってそのツアーの様子を撮影。その体験の一部始終を彼女たちのSNSで発信してもらう
●アンバサダーの女の子たちに商品開発に入ってもらう

インフルエンサーの人たちと深い関わりを長期的に作っていくことが大事かなと思います。

— アンバサダーマーケティングでも、やはりStoriesなどのムービーがポイントになってきますか?

石井:ムービーももちろん大事ですが、さらに一歩先として一番早く情報を入手できる手段としてLive機能も注目です。例えばですけれど、アンバサダーに商品開発に入ってもらっている様子やイベントを開催している様子をLiveするといったこともできますよね。

— Live機能というとたとえば?

石井:Facebook Liveがあげられます。あるいは、2016年11月21日にアメリカで提供がはじまったStories の機能のひとつとしてLive機能です。

2017年は「SnapchatライクなSNS元年」と話しましたけれど、あるファッションショーでファッションメディアがそのショーの様子をStoriesで撮ったムービーを10個くらいあげていました。そのファッションショーの情報を1番最初に私はStoriesで知ったんですよ。

オンタイムで早い情報を発信していくことができるのがStoriesやLIVE機能の特徴だったのですが、StoriesにLive機能が加わることでその特徴がさらに際立ちそうです。Facebook Liveも引き続き注目していきたいですね。

— 動画に対応するだけでなく、さらに1歩先のLiveで情報を提供することが重要だというわけですね。

石井:編集されたムービーより、インフルエンサーのFacebook LiveやStoriesで見ることができるライブ映像に、ユーザーも慣れてきています。企業アカウントでFacebook LiveやStories のLive機能で生配信を行っていかないと、ユーザー同士のコミュニケーションとタイムラグが生まれていくのではないでしょうか。

— なるほど。そうした進化し続けるユーザーのニーズにキャッチアップしていくのも大変そうですね。

マーケッターが注視すべきは他企業ではなく、ユーザーの遊び方

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— 2016年や2017年に限らず、SNSマーケティングと企業のマーケッターの関わり方や注意点についてお伺いさせてください。

石井:マーケッターの皆さんからありがちな質問が「他の企業はどのようにされていますか?」というもの。企業事例を皆さん知りたがるんですね。でも本当に大切なのは「ユーザートレンドを知る」というステップです。

— 眼の前にいる「顧客が第1」。他の企業=横を見ても、マーケッターは前に進めないということですね。

石井:はい。SNSはあくまでユーザーが主役のプラットフォームなんです。ユーザーがどういうふうにそれぞれのSNSで遊んでいるかをまず把握しておかなくてはいけません。

— ユーザーがどう遊んでいるかとは?

石井:どういうふうにユーザー同士がSNSでコミュニケーションをとっているか、ということです。たとえばこういう違いです。

Twitter:自分を少し卑下したり、ネガティブな内容も発信できるプラットフォーム。
Instagram:ネガティブな様子は少なく、Instagram映え(インスタジェニック)を意識した綺麗な写真の多いプラットフォーム

プラットフォームによって同じ物事でもアウトプットの仕方が全然違うんです。それぞれのプラットフォームの特徴をきちんと掴むことが大事です。

— ユーザーの使い方は具体的にどうしたら把握できるのですか?

石井:そのSNSの中でアクティブなユーザーたちを多くフォローし、彼ら彼女らの投稿の様子を見ながら、自身もSNSを使い倒すしかないと思います。

— 他社事例を見ている場合じゃない?

石井:いえいえ(笑)。ユーザーの使い方を踏まえたうえで、SNSをうまく活用している企業がどういうふうにやっているのか参考にしていくのは良いことだと思います。

— 順番が違う、ということですね?

石井:はい。「まずは、ユーザーの動きをきちんと把握しましょう」というのが大事です。

— ユーザーの動きを把握するには、Web界隈でよく使われるA/Bテストも組み合わせながら行う必要がありますか?投稿に対するコンバージョン(成果)を計測するなど。

石井:そうですね。ただ、コンバージョンで設定されがちな「購買」は注意が必要です。SNSは、ダイレクトマーケティングに用いるべきものではないので。

— SNSはダイレクトマーケティングに向かないんですか!?

石井:SNSは本来、ユーザーが主役のプラットフォームですので、企業がダイレクトマーケティングするためのものではありません。、企業にとってSNSは、ユーザーとコミュニケーションをとる、接点を持つためのものと考える方が良いでしょう。

— とすると、Shop Now ボタンも実は気をつけたほうがいい?

石井: ユーザー同士で遊ぶためにSNSを使っている子がほとんどだと思うんですよ。そこにずけずけと入っていって「買ってください〜!」というのは結構図々しい話なんです(笑)。だから、ダイレクトマーケティングでSNSを使うというよりは、次の2点で使うのが適しているプラットフォームがSNSなのです。

1.新規ファンを増やす
2.既存ファンとのコミュニケーションを図る

もちろん、いずれは購入に繋がるとは思います。ですけど、Instagramのアカウントを1ヶ月、2ヶ月運用したらすぐに効果が出る、というものでありません。

— コンバージョンとして購買を設定しないとするとKPIはどういったものが最適ですか?

石井:企業や運用目的にもよりますが、SNSでの指標として設定されるのが多いのはエンゲージメント率(ユーザーが反応を示した率)といわれています。フォロワーに対して、どれくらい「いいね!」やコメントをもらえたかという率です。ユーザーやフォロワーをファンに変えているかを計測する指標としてのエンゲージメント率の把握が重要です。そうして、エンゲージメントを高める施策をやり続けた結果が…

「飲み物を買おうと思うけど、あのInstagramで紹介されていたドリンクが良いもしれない」

…みたいな、商品に対して親近感をあげてもらうようなコミュニケーションをとれれば理想的だと思います。メキシコのビールブランドCORONAのInstagramは、すごく綺麗な映像や写真が投稿されています。

Loving this place. #ThisIsLiving 📷: @morganmaassen

Coronaさん(@corona)が投稿した動画 –

— ステキな映像ですね。

石井:「買ってください!!!」というような商品をごり押しした投稿ではないですよね。Instagramはビジュアルメインのコミュニケーションです。です。雑誌に載っているような写真をいろいろと投稿すれば、ユーザーにとってもフォローするメリットのあるアカウントになっていくんです。

— フォローしたい、と思わせる写真や映像を投稿していかなきゃならない?

石井:そうですね。SNSは一般ユーザーとのコミュニケーションツールですので。

— SNSマーケティングもインフルエンサーマーケティングも、ユーザーの動向と使い方を観察することが大切。そうしたスタンスで、SnapchatライクなSNSを活用しつつ2017年のマーケティングで注意すべきことがわかりました。本日はありがとうございました!

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