インフルエンサーを自社のマーケティングに起用することで、商品の認知度がアップしただけではなく、売上も大きく上がったという事例は数多くあります。しかしちょっとしたミスが原因で大失敗に終わることも……。

インフルエンサーとはきちんと打ち合わせもしたし、コンテンツの制作にはかなり時間をかけたのに、なぜ失敗してしまったのでしょうか。今回は国内外のインフルエンサーマーケティングにおける成功例と失敗事例を比較。失敗した原因を分析し、その解決策をご紹介します。

1. ファンから絶賛の声が相次いだ成功事例

日本でも有名なファッションブランド、GAP。2012年から約4年間、世界各国のインフルエンサーを集め、特設サイト(http://www.styld-by.com/en-us/)にてファッションスナップを公開しました。

マレーシアのテレビ・ラジオアナウンサーのZooeyさん。GAPとコラボレーションした写真のインスタグラムのコメントには、「かわいい!」「素敵!」といったファンからの明るいコメントが並びます。

家族でインスタグラムに登場し、インフルエンサーとして活躍するDigital Modern Family。コメントには”Gorgeous honestly”(本当に華やかです)や”Such a beauty”(美しいです)といったポジティブなコメントが集まりました。

このように、インフルエンサー独自のファッションスタイルに馴染ませる形で、自社製品を着てもらうことは、ファッション業界において、最もポピュラーなマーケティング戦略です。

普段のファッションにも取り入れやすいスタイルがstyld.byにたくさん掲載されています。このようにファンにとっても親しみを持たせやすい形でインフルエンサーを起用したGAPの例は、成功例といえるでしょう。

 

2. なぜ失敗に終わった?インフルエンサーマーケティングの影

数多くのインフルエンサーマーケティングの成功例がある一方で、ファンからの批判が相次ぐ事例もあります。これらの事例はどんな経緯で発生し、なぜファンの反感を買ってしまったのでしょうか。

 

■企業からのメールをコピペしてしまった:Scott Disickさん

テレビパーソナリティでモデルのScott Disickさん。端正なルックスと体つきの良さからプロテインメーカーとパートナーシップを締結。任された仕事は、提供された商品をインスタグラムに投稿すること。ここまではよくあるインフルエンサーマーケティングの流れですよね。

しかし、このインスタグラムが大炎上!どこで問題が生じてしまったのか、実際のインスタグラム投稿のスクリーンショットを見てみましょう。

“@letthelordbewithyou それでは行きましょう。アメリカ東海岸時間の午後4時に以下のことを書いてください。
説明文はこちら:
夏の運動の日課は@booteaukで頑張りましょう。プロテインシェイクです!”

ご覧の通り、Scottさんは誤ってメーカー側から指示されたメール全文をそのままインスタグラムにそのまま貼り付けてしまったのです。

その後、ファンの1人はScottさんが犯したミスをTwitterにて指摘しましたが、時すでに遅し…。

“Scott DisickさんがSkinny Teaのマーケティングチームからのメールを彼のインスタグラムにコピーアンドペーストしてしまったものです。”

これを受け、Scottさんは企業からの指示文を削除し、広告を意味する#adのハッシュタグを追加しました。(※現在、該当画像は削除済み)

ファンからは「やっぱり企業から言わされているんじゃないか」と批判のコメントが殺到し、ツイッターは大炎上したのです。

こうしたミスを防ぐために、インフルエンサーと企業が一緒に文章を考えたり、インフルエンサー自身に文章を考えてもらうなどのルールを決めることが大切ですね 。

 

■値段に見合わない商品のクオリティで批判殺到:Nikkietutorialsさん

YouTubeのチャンネル登録者数は700万人を超え、美容のインフルエンサーとしてトップに君臨するNikkieTutorialのNikkieさん。オランダ出身で、美容学校を卒業しているプロのヘアメイクアーティストです。

2016年の夏には、アメリカの有名コスメブランド、Too Facedと共同開発したアイシャドウパレットを販売。Nikkieさんはファンからの人気が絶大で、女の子なら欲しくなる華やかなパッケージも魅力的です。

しかしこのパレットの評判は悪く、レビューにおいて批判コメントを集める結果になってしまいました。何が問題だったのか、Too Facedの公式サイトに掲載されているレビューを見てみましょう。

「発色がダメ
この商品を買ったお金が戻ってきてほしいです。ブロンザーはよかったけど、長年の間ずっとファンだったのに、他は全く満足できず、失望しました。 」

「もっといいパレットを予想していた
発色が悪いです。ずっしりしていて、ブレンドしにくく、安っぽい包装も気になります。他のパレットのように影がクリーミーにならないことに失望しました。」

「大きな失望だった!?
見た目はかわいいパレットですが、アイシャドウの発色が悪くないでしょうか?とても楽しみにしていたので、非常に悲しいです。返金してほしいですね。」

”disappointment”(失望した)と”no pigmentation”(発色が悪い)の2つの英単語が数多く書き込まれていました。これらのレビューから推測されるのは、値段にそぐわない商品の質がこのような問題を引き起こしたことです 。

どんなに人気なインフルエンサーを使っていても、商品の質が良くないと逆効果に。その結果、炎上してしまうこともあります。

 

■提供動画が続き、元々の世界観とのギャップが生じる:Choicerishちひろさん

最後に日本の美容インフルエンサー、Choicerishのちひろさんのケースに触れましょう。YouTubeで美容やメイクの動画を投稿し。コスメやメイク技術に関する知識の豊富さや、わかりやすくて真似しやすいメイクと親しみやすいキャラクターで一躍人気者になりました。

人気ユーチューバーになったことで、企業とのコラボレーションが増加。一方ファンからは「もっと前みたいに楽しくメイクをしてほしい」「いつも提供動画ばかり」とネガティブな評価が増えてしまいました。

多い時では5〜6本立て続きに提供動画が投稿され、ファンが目当てにしていたオリジナルの動画が少なくなってしまったのです。その結果、ファンからの信用をなくしてしまい、ネガティブな評価が増えたのです。

企業側からすると、インフルエンサーに自社製品をPRしてほしい気持ちがあり、「こんなメイクをしてほしい」「こんなポイントを伝えてほしい」と細かくインフルエンサーに伝えます。

しかしファンの立場になって考えてみれば、PR色が強くなればなるほど、インフルエンサーの魅力が失われてしまう、といったケースも考えられます。たとえそれがインフルエンサーマーケティングだとわかっていたとしても、インフルエンサー自身の言葉や視点のコメントを聞きたく、オリジナルの動画を見たいとファンは願っているのです。

 

ファン目線の施策こそがインフルエンサーマーケティング

今回ご紹介した3つの失敗例から、インフルエンサーマーケティングを実施していく上で、影響力のあるインフルエンサーは起用するだけではなく、ファンのインサイトや反応を考えてながら施策を打つことが重要であることがわかります。

ファンの反応とは、消費者の購買行動に直結するものです。ネガティブなコメントや評価が続けば、それらを見た他の人もポジティブな気持ちになることはないでしょう。

成功事例のファンの反応はどんなものなのか、また失敗事例でファンはどんなことを思ったのか。その両面を考えながら、インフルエンサーマーケティングの施策を考えてみませんか。

 
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