航空会社や観光局が、ブロガーやインスタグラマー、ユーチューバーなどのインフルエンサーをマーケティングキャンペーンに採用するケースはたくさんあります。旅行業界のマーケティングでは、旅行先の美しい景色の写真や、その土地ならではの情報が重要。そのため感性豊かで高度な撮影テクニックを持つインフルエンサーは人気です。

インフルエンサーを起用する側としては、どのように、何をお願いするかが悩みどころ。旅行関連のコンテンツでは、どうしても旅先の観光名所や美味しい食べ物、ショッピング情報に偏ってしまいがち。その中で他との差別化を図りながら、旅行情報をプロモーションしてほしいというのは、マーケティング担当者の本音ですよね。

そこで今回は旅行情報だけではない、旅行業界のインフルエンサーマーケティングの事例を2つご紹介。旅先を魅力的に見せるためには、どのような工夫が凝らされているのかに注目してみると、これまでとは違うアイディアが出てくるかもしれません。

【観光局×インフルエンサー】バイリンガールChikaさんと見つける、ウィーンのライフスタイル

英語ユーチューバーとして有名な「バイリンガール英会話」のChikaさん。小学生から大学卒業までの16年間をアメリカで暮らした経験をお持ちです。Chikaさんはアメリカ国内をはじめとし、世界各国へ旅行されていることから、オーストリア政府観光局とウィーン市観光局がタイアップを依頼し、ユーチューバー、ブロガーとしてオーストリアのウィーンを旅してもらいました。

Chikaさんのレポートでは、美しいウィーンの建築物や街並み、おしゃれなカフェや食べ物はもちろんのこと、ウィーンの現地の人々の考え方や暮らしにもフォーカスをしています。ウィーンは「世界一住みやすい都市」に7年連続で選ばれていることから、「旅行で訪れる街」という視点だけではなく、「住む場所としての街」という視点も盛り込んだのです。

そんな「住む場所としてのウィーン」をフィーチャーするために、オーストリア出身で現在はオーストリア政府観光局の東京オフィスに勤めるネヴィンさんとネヴィンさんの友達が登場。Chikaさんと行動しながら、ウィーンのライフスタイルを紹介しているのです。

「ウィーンの人々は、友達や家族と話すことを重視し、ストレスを溜め込まないようにする。カフェやお店に自分の犬を連れ込んでもいい。人生を楽しむために物事を難しく考えすぎない。仕事では従業員に長期的に働いてもらうために、頑張りすぎないでもらう。」

ChikaさんのYouTubeチャンネル「バイリンガル英会話 | Billingirl Chika」の視聴者には、英語を勉強したい人だけではなく、海外生活に興味がある人もいます。そのため留学に関するコンテンツにもChikaさんは力を入れています。このような動画をきっかけに海外に興味を持つ若者が拡散されていきます。

「こんにちは!ちかさんっ❤︎この動画をみてVIENNAに今年の夏に行くことにしました〜こうゆう動画がもっとほしいです!」

「これ見てウィーンに行きたくなりました!!」

(動画に寄せられたコメントから引用)

ただの観光案内にならないように、ウィーンの大きな特徴である「住みやすい街」にもフォーカスしたキャンペーンのコンセプトは、多くの若者の目を海外に向けることに成功したのです。

【航空会社×インフルエンサー】ヘルシンキ経由で行く、英国周遊のブロガートリップ

フィンランドの航空会社、Finnairは2016年の2月に日本人ブロガーを英国に招待するツアーを英国政府観光庁とのタイアップで行いました。旅は成田空港からヘルシンキ空港で乗り換え、最終目的地は英国のマンチェスター空港です。

招待されたブロガーは、旅行ブロガーのizuminさん、BLOGOS編集長を勤めるかたわら旅行ブロガーとしても活躍する田野幸伸さん、テラスハウスに出演した経験がある近藤あやさん、暇女として数々の面白ブログを発信する佐田清澄さんの4名。

各ブロガーは、英国政府観光局が組んだツアーを楽しみながら「#lovegbfinnair」のハッシュタグを使い、ツアーの様子をTwitterやInstagramで配信。後日、食べ物や建築物、ヘルシンキの空港のより詳しい旅行で体験したことをブログで報告していきます。

ブロガー4人が同じ旅行をレポートするため、それぞれの旅の視点が楽しめることがこのキャンペーンの面白いところですね。

「インスタ映え」するような、フォトジェニックなスポットや食べ物が数多くツアーに組み込まれています。こういったものをブロガーの方々に体感してもらい、TwitterやInstagramに投稿してもらうことで旅好きの人の心をグッとつかむのです。

ところで、なぜフィンランドの航空会社が英国観光局とタッグを組んで、英国へのツアーを実施したのか、疑問に思いませんか?「Finnairなら、フィンランドツアーでもいいのでは?」と思う方も多いはず。英国への旅行なら、成田空港から直行便で行くほうが楽でですよね。

じつはツアーの経由地であるヘルシンキ空港は「日本に一番近いヨーロッパの空港」であり、「乗り継ぎしやすい空港」として日本でも少しずつ知名度を上げています。空港の案内表示には日本語の記述もあるほどです。

国際空港としては珍しく、空港のターミナルは1つだけ。しかも空港の端から端まで歩いても、20分ほどしかありません。Finnairは、この小さな空港からヨーロッパ各地へ便を配置。コンパクトでシンプル、そして混雑が少ないことがヘルシンキ空港の大きな特徴です。

今回のブロガートリップの隠れた狙いはまさに便利で使いやすいヘルシンキ空港を経由し、Finnairで英国に行こうというもの。そこで著名な旅ブロガーを起用し、それぞれの視点で英国旅行を発信してもらうことで、ヘルシンキを経由して英国へ行く選択肢を広めようとしたのです。

ちょっとした”イレギュラー”が、旅や海外好きなファンの心をつかむ

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今回は旅行業界のインフルエンサーマーケティングのの事例を2つご紹介しました。いずれも旅先としての魅力を存分にアピールしながら、現地の人のライフスタイルや乗り継ぎといった、ほかではあまり見られない切り口や、インフルエンサーマーケティングのエッセンスが盛り込まれています。

これら2つのキャンペーンからわかることは、インフルエンサーを起用する場合、ただ起用するだけではなく、いかにファンに新鮮な気持ちになってもらうための施策を考えることが鍵となること。

「こんな感じで旅先を見るのはなかなか珍しい」という、ちょっとしたイレギュラーな視点をファンやターゲット層に与えることが、インフルエンサーマーケティングを成功させるポイントとなるのです。

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